世界のトップシェフ
ミシュランの星を持つ世界的シェフたちが公開した、本物のレシピ。 彼らの哲学と技術を、日本の台所で再現する。

レネ・レゼピ
René Redzepi — Noma、コペンハーゲン、デンマーク
デンマーク生まれ。北欧料理に革命をもたらした「ノルディック・キュイジーヌ」の第一人者。コペンハーゲンに構えたレストラン「Noma(ノーマ)」は、ミシュラン2つ星を獲得するとともに、「世界のベストレストラン50」にて4度の1位に輝いた。発酵・保存・採取といった北欧の伝統技法を現代料理に昇華させ、食の概念そのものを問い直した。2024年にNoma閉店を発表し、新たな食の探求へと進んでいる。

マッシモ・ボットゥラ
Massimo Bottura — Osteria Francescana、モデナ、イタリア
イタリア・モデナ生まれ。「Osteria Francescana(オステリア・フランチェスカーナ)」でミシュラン3つ星を獲得し、「世界のベストレストラン50」で2度の1位を達成。イタリア料理の伝統を守りつつ、現代アートや哲学からインスピレーションを得た前衛的な料理で世界を驚かせ続ける。また、食品ロス削減を訴えるプロジェクト「Refettorio」を世界各地で展開し、料理人としての社会的責任も体現する。

アラン・パッサール
Alain Passard — L'Arpège、パリ、フランス
フランス・ブルターニュ生まれ。パリ7区の「L'Arpège(ラルページュ)」でミシュラン3つ星を30年以上維持し続けるフランス料理界の重鎮。2001年、星付きレストランとしては異例の「肉をほぼ使わない野菜中心メニュー」へのシフトを宣言し、料理界に衝撃を与えた。パリ郊外と西部に3つの農園を持ち、自ら土を耕して育てた野菜を翌朝のランチに使うという、食材との最短距離を追い求める。

ドミニク・クレン
Dominique Crenn — Atelier Crenn、サンフランシスコ、アメリカ
フランス・ヴェルサイユ生まれ。サンフランシスコの「Atelier Crenn(アトリエ・クレン)」でミシュラン3つ星を獲得し、アメリカで初めて3つ星を手にした女性シェフとして歴史に名を刻む。料理を「詩的な料理(Poetic Culinaria)」と呼び、一皿一皿が詩の一節のような物語を持つ。2019年に乳癌の診断を受けながらも料理への情熱を失わず、サステナビリティや食の平等を訴える活動家としても国際的に影響力を持つ。

グラント・アカッツ
Grant Achatz — Alinea、シカゴ、アメリカ
アメリカ・ミシガン州生まれ。シカゴの「Alinea(アリネア)」でミシュラン3つ星を獲得し、アメリカ前衛料理の最前線に立つ。2007年、口腔癌のステージ4と診断され、味覚を失うリスクに直面。しかし治療を続けながら厨房に立ち続け、奇跡的な回復を遂げた。その経験は料理哲学をさらに深め、「感情を食べる」という体験型料理の世界を切り開いた。著書・ドキュメンタリーを通じ、その生き様は料理界を超えて広く知られる。

ヴィルヒリオ・マルティネス
Virgilio Martínez — Central、リマ、ペルー
ペルー・リマ生まれ。「Central(セントラル)」のオーナーシェフとして、ペルーの生態系と食材をテーマにした独自の料理哲学を体現。2023年「世界のベストレストラン50」で第1位を獲得。アンデスの高地から深海まで、標高ごとに異なる食材を12のコースで表現する「Altitudes(高度)」というコンセプトは世界的に注目を集めた。妻で共同シェフのピア・レオン(Kjolle)と共に、ペルー料理の世界的地位を押し上げた第一人者。

カルロ・クラッコ
Carlo Cracco — Cracco in Galleria、ミラノ、イタリア
イタリア・ヴェネト州クレアッツォ生まれ。ミラノの名門「Cracco in Galleria(クラッコ・イン・ガッレリア)」のオーナーシェフ。グアルティエロ・マルケージのもとで修業後、フランスで3年間フランス料理を学ぶ。ミシュラン1つ星を獲得する一方、MasterChef Italia・Hell's Kitchen Italiaの審査員として圧倒的な存在感を示し、イタリアで最も知名度の高いシェフのひとり。アーリオオーリオペペロンチーノに卵黄を加える斬新なアレンジでイタリア料理界に論争を巻き起こした。

キケ・ダコスタ
Quique Dacosta — Quique Dacosta Restaurante、デニア、スペイン(バレンシア州)
スペイン・エストレマドゥーラ州生まれ、バレンシア州デニアで育つ。地中海を望む「Quique Dacosta Restaurante」のオーナーシェフとして、2012年にミシュラン3つ星を獲得。料理の修業経験を持たず、完全独学でトップシェフへと上り詰めた異色の経歴を持つ。地元バレンシアの海産物・柑橘類・米を前衛的な技法で表現し、パエリア文化の聖地から世界に向けて新たなスペイン料理の形を発信し続けている。ロンドンに「Arros QD」も展開。

アラン・デュカス
Alain Ducasse — Le Louis XV / Plaza Athénée、モナコ/パリ、フランス
フランス・ランド県生まれ。世界で最も多くのミシュランの星を獲得した料理人として知られ、保有する星の数は生涯で21個以上に達する。モナコの「Le Louis XV」でわずか33歳にしてミシュラン3つ星を獲得し、以後パリ、ニューヨーク、東京、ロンドンなど世界各地に3つ星レストランを展開。「料理とは土地と季節の産物」という哲学を徹底し、地元の生産者との関係を最も重視する。料理学校「École de Cuisine Alain Ducasse」を通じた次世代シェフの育成にも力を注ぐ。

アンヌ=ソフィー・ピック
Anne-Sophie Pic — Maison Pic、ヴァランス、フランス
フランス・ヴァランス生まれ。料理一家の3代目として、父アンドレ・ピックが取得したミシュラン3つ星を自らの手で取り戻した伝説のシェフ。父の死後一時的に2つ星に落ちた「Maison Pic」を、2007年に3つ星へと返り咲かせ、フランスで唯一の女性ミシュラン3つ星シェフとなった。正式な料理教育を受けずに独学で頂点に立った異色の経歴も注目される。ロンドン・ローザンヌ・パリにも展開し、世界的なガストロノミーの舞台で活躍し続ける。

ピエール・ガニェール
Pierre Gagnaire — Pierre Gagnaire、パリ、フランス
フランス・アプション生まれ。パリ8区の「Pierre Gagnaire」はミシュラン3つ星を保持し、世界のベストレストラン50でも常に上位に位置する。サンテティエンヌでのレストランが1996年に経営破綻という危機を乗り越え、パリに再起を賭けて開いたレストランで頂点に登り詰めた不屈のシェフ。フランス料理の伝統的な枠組みを解体し、一皿に複数の料理を同時に出す「マルチプル」という独自スタイルを確立。音楽・アート・文学から深くインスピレーションを得る知識人的な料理人としても知られる。

エンリケ・オルベラ
Enrique Olvera — Pujol / Cosme / Atla、メキシコシティ、メキシコ/ニューヨーク、アメリカ
メキシコシティ生まれ。「Pujol(プホル)」のオーナーシェフとして、現代メキシコ料理の世界的な地位を確立した第一人者。ニューヨーク・コーネル大学ホテル経営学部卒業後、2000年にメキシコシティにPujolをオープン。以来「世界のベストレストラン50」に毎年ランクインし、2023年には第13位。代表作「モレ・マドレ、モレ・ヌエボ」は1000日以上熟成させた母なるモレソースと新鮮なモレを同心円状に盛った一皿で、メキシコ料理の深さを世界に知らしめた。ニューヨークに「Cosme(コスメ)」と「Atla(アトラ)」も展開し、メキシコ料理を高級ガストロノミーの舞台へと押し上げた。

マルティン・ベラサテギ
Martín Berasategui — Restaurante Martín Berasategui、ラサルテ=オリア、スペイン(バスク地方)
スペイン・バスク地方サン・セバスティアン生まれ。バスク料理の聖地で育ち、14歳から家業の料理店で働き始める。フランスやスペインで修業後、1993年に自身のレストランをオープンし、わずか8年でミシュラン3つ星を獲得。グループ全体で12以上のミシュランの星を保有し、単独シェフとしてスペイン最多の星数を誇る。メキシコ・ドミニカ共和国など世界各地にレストランを展開し、バスク料理の技術と哲学を国境を越えて伝え続けている。

トーマス・ケラー
Thomas Keller — The French Laundry / Per Se、ヤントヴィル、アメリカ/ニューヨーク、アメリカ
アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。カリフォルニア・ナパバレーの「The French Laundry(フレンチ・ランドリー)」とニューヨークの「Per Se(パーセ)」、両方でミシュラン3つ星を同時に保持したアメリカ料理界の頂点に立つシェフ。フランス料理の厳格な技法をアメリカの食材と組み合わせ、アメリカン・ファインダイニングという新たなジャンルを確立した。著書『The French Laundry Cookbook』は料理書の金字塔として今も世界中のシェフに読み継がれている。

エリック・リペール
Eric Ripert — Le Bernardin、ニューヨーク、アメリカ
フランス・アンティーブ生まれ。ニューヨークの名店「Le Bernardin(ル・ベルナルダン)」のシェフ兼共同オーナーとして、30年近くにわたりミシュラン3つ星と「ニューヨーク・タイムズ」4つ星を維持し続けるシーフード料理界の巨匠。フランスの厳格な技法をベースに、繊細な火入れで魚介の持ち味を最大限に引き出すスタイルが世界的に評価されている。著書・テレビ番組を通じてシーフード料理の魅力を広く伝える伝道師的存在でもある。

ダニエル・ブールー
Daniel Boulud — Daniel、ニューヨーク、アメリカ
フランス・リヨン近郊の農家生まれ。ニューヨークの旗艦店「Daniel(ダニエル)」を筆頭に、世界各地に20店舗以上のレストランを展開するフレンチ・アメリカン料理界の重鎮。フランスの伝統的な技法を礎にしながら、ニューヨークの多様な食文化を取り入れたエレガントなスタイルを確立した。フランス料理をアメリカで再定義した功労者として、ジェームス・ビアード財団から数々の賞を受賞している。